このたび茨城県近代美術館の館長に就任いたしました、荒屋鋪透(あらやしきとおる)でございます。
昭和58年に三重県立美術館で学芸員としてのキャリアをスタートし、その後、山梨県立美術館学芸員、さらにポーラ美術館館長として美術館に携わってきました。平成29年に中部大学教授となってから美術館の現場を離れていましたので、久しぶりの美術館勤務となりますが、これまでの経験を生かして美術館の運営に当たる所存です。
さて、当館では今年度、水戸出身の洋画家中村彝(つね)の没後100年を記念した大規模な回顧展の開催を予定しています。三重県立美術館で学芸員の世界に入った翌年、没後60年記念の中村彝展に携わったこともあり、中村彝には強い思い入れがございます。加えて、このタイミングで館長に就任したことに運命的なものを感じています。当館の魅力的な企画展のラインナップの中でも、特に中村彝展は多くの方に楽しんでいただけるよう、私も先頭に立って準備を進めていきたいと考えています。
当館は、戦後間もない昭和22年に大洗町に開館した茨城県立美術館からの77年という歴史を有しています。開館の年にわずか5点だったコレクションも現在では4300点を超えています。これも長きにわたり多くの方に愛されてきた証といえます。令和を迎え、社会は大きな変革期を迎えていますが、美術館は変わらずに感動と笑顔を届ける場でありたいと考えています。私も微力ながら78年目の新たな1ページを刻んでいきますので、何卒よろしくお願いいたします。
令和6年4月1日
茨城県近代美術館
館長 荒屋鋪 透
掲載日 令和5年3月15日
更新日 令和6年4月2日